
立位のポーズをしていると、ふらついたり、足に力が入りにくかったり、どこに効いているのか分からないといった悩みはありませんか?
実は、立位のポーズが安定しない原因は、柔軟性よりも下半身の土台が整っていないからです。
足裏で立つ感覚、下腹部と体幹の支え、骨盤の向き、そして自分に合った足幅。この4つの基礎が整うとポーズが安定し、呼吸や姿勢にも余裕が生まれます。
ここでは、立位のポーズがぐらつく理由と、自宅でもできる“安定感が増す4つのコツを、図解つきでわかりやすく紹介します。自分のペースで力強いポーズを作っていきましょう。
- 立位のポーズが安定しない原因
- 安定感が増す4つのコツ(足裏・体幹・骨盤・足幅)
- 立位のポーズで気をつけるポイント
- 立位ポーズがもたらすおもな効果
- 足幅や骨盤の向きを調整するときの見極め方
- ひざや股関節が不安な人のための椅子を使った代替法

立位のポーズで安定しないのは、下半身の使いかたが大きく影響しています。
とくに、次の4つの要素が弱いと丁寧にポーズを取っても安定しづらくなり、ポーズの良さが感じにくくなります。
- 足裏の踏みしめが弱い
→ 床をしっかり捉えられず、重心が揺れやすくなる - 体幹・下腹部の支えが抜けてしまう
→ 上半身の重さを脚だけで支えるため、ふらつきやすい - 骨盤の位置が傾く・ねじれる
→ 無理な体勢になり、ポーズが不安定になる - 足幅が狭すぎる/広すぎる
→ 自分の可動域に合っていないため、力強さや安定感に欠ける
つまり、立位が安定しないのは「努力不足」ではなく、上体を支える土台が十分に機能していないだけです。
自分のポーズが安定するには、4つの要素(足裏・体幹・骨盤・足幅)があります。これらを使えているか確認してみましょう。
立位のポーズを安定させるためには、下半身の「土台」を整えることが欠かせません。ここでは、足裏・体幹・骨盤の向き・足幅の4つの要素を詳しく解説します。参考にしてくださいね。
足裏の感覚が弱いと、どうしても不安定になりがちです。そんなときは、「足裏の3点」が使えているかどうか見直します。
足裏の「3点」とは、かかと、小指の付け根、親指の付け根の3カ所のこと。この3点で床を踏みしめると、足元が安定し、バランスも安定します**。(かかとの内側と外側を分けて、足裏4点と説明することもあります)
また、3点での踏みしめは、足裏のアーチ(土踏まずを含む3つのアーチ構造)が自然に引き上がり、姿勢の安定につながります**。足裏を「面」ではなく「点」としてとらえる意識を持ちましょう。

足裏の感覚が弱いとぐらつきやすく体の重心も不安定になりがちです。踏み込みが甘いと感じたら、以下の運動やマッサージを取り入れてみてください。
*エクササイズ*
足指のグーパー運動・タオルギャザー・足裏のマッサージ など

*ヨガポーズ*
ヤシの木のポーズ など

立位のポーズで安定感を得るために、グラウンディング(足裏で床を感じること)は欠かせません。3点で床を押す意識を持って立つだけでも、足が強くなった感覚が生まれるでしょう。
足裏の感覚は、固有受容感覚(自分の体の位置を感じる力)を養います**。
なお、エクササイズをするときは無理しないのが大切です。足先のどこか痛みを感じる場合は、すぐに中止して医療機関にご相談ください。
立位のポーズでは、上半身を支えるために腹筋や体幹の安定が欠かせません。ここが抜けてしまうと、足だけで体重を支えることになり、ひざや太ももに負担がかかったり、ふらつきやすくなります。
下腹部を軽く締める
立位のポーズでは、深い腹式呼吸をしようとすると、お腹がゆるみ、体幹の支えが抜けてしまうことがあります。ポーズをとっているときは、下腹部を軽く締める意識を常に持ちましょう。
腹式呼吸がしづらいときは、胸式呼吸に切り替えてもかまいません。腹式呼吸にこだわらず、ポーズの安定を優先させてください。
体幹が弱いと足への負担が増える
立位のポーズは下半身を固定したまま、他のポーズへ移ることが多いため、体幹が弱いと上体の負荷が脚に集中します。その結果、太ももやひざが疲れやすくなり、ケガにつながることもあります。
体幹に不安がある人は、以下のような軽いトレーニングを取り入れましょう。
*体幹を鍛えるポーズ*
プランクポーズ(板のポーズ)、肘つきプランク(ハーフプランク)、椅子のポーズ など

短時間でも十分に効果があるので、毎日少しずつ続けるのがおすすめです。腹筋・体幹が強くなると立位のポーズが安定し、グッと取りやすくなります。
反り腰・猫背にも気をつける
立位のポーズは、姿勢が悪いとバランスが不安定になりがちです。反り腰や猫背傾向な人は、以下のことを意識しましょう。
- 反り腰姿勢の人は…
腰が反れているのはおなかの力が緩いサイン。下腹部に力を入れて腰の反りを減らします。また、両手をあげるとき、みぞおちを前に突き出さないように気をつけましょう。 - 猫背姿勢の人は…
目線が下に落ちていたり腹筋の力が弱いと、自然と前かがみになります。 顔を軽く持ち上げ、目線を正面にするだけで姿勢が整いやすくなります。下腹部に力を入れて姿勢をキープしましょう。
立位のポーズは「目線の位置」も安定のカギです。インストラクターの指示に従って、ポーズごとの決まった目線の方向(ドリシュティ)を意識しましょう。
立位のポーズでは、骨盤の安定が欠かせません。体の中心にある骨盤が不安定だと、太ももやお尻の筋肉が十分に働かず、ポーズ全体がぐらつきやすくなります。
また、立位のポーズは上体や骨盤の向きに合わせて、大きく2つのタイプに分かれます。
- 左右に足を開くポーズ(オープンヒップ・骨盤を横に向ける)
例:戦士のポーズ2、三角のポーズ、体側を強く伸ばすポーズ(サイドアングル) - 前後に足を開くポーズ(スクエアヒップ・骨盤を正面に向ける)
例:戦士のポーズ1、ハイランジ、側面を強く伸ばすポーズ

足を左右に開くポーズ(オープンヒップ)の場合
足を左右開くと、骨盤が前後にぶれたり、お尻が突き出やすくなることがあります。おなかやお尻を使って骨盤を立たせましょう。
- 骨盤の安定
下腹部を軽く締め、お尻が突き出ないように、尾骨(お尻の付け根部分)を床に向けて軽く締めます。 - 重心のバランス
体重を左右均等にのせ、重心は常に体の中心軸にくるよう調節します - 足の向きの調整
前足は股関節と太もも全体を使って外側に回しながら開き、後ろ足はつま先をやや内側に向けるとポーズが取りやすくなります。
注意点(関節をまもるために)
人によっては骨盤が真正面に向かないことはあります。骨盤を無理に正面に向けようとせず、自然な位置でかまいません。無理にすると、ひざや股関節の関節に負担がかかり、ケガの原因になりかねません。どうしても、上体を真正面に向かせたいときは、腰を軽くひねってポーズをとりましょう。
足を前後に開くポーズ(スクエアピップ)の場合
骨盤を正しい位置(ニュートラル)に保つには、体幹やお尻、太ももの筋肉が連携して動くことが大切です。これらの筋肉が骨盤と腰椎を支え、前傾・後傾に偏らない姿勢をつくります。
とくに足を前後に開くポーズでは、後ろ足に骨盤が引っぱられて傾きやすい(開きやすい)ため、次のことを意識しましょう。
- 骨盤を正面に戻す
後ろ足の太ももを内側に回す(内旋)感覚を持ち、開いている骨盤を正面に戻します - 骨盤を立てる
尾骨(お尻の割れ目の真ん中部分)を床へ向けるように意識し、骨盤の前傾を防ぎます。また、下腹部を軽く締めて骨盤の位置を固定します。 - 前足の調整
前足側の骨盤は内側に入りやすい(前に出やすい)ので、軽くお尻を後ろに引きながら、太もも全体を使って、ひざと足先と同じ方向に向けましょう。
日常のくせで硬くなりやすい骨盤回りの筋肉は、以下の運動やヨガのポーズをとると、骨盤の調整がしやすくなります。
エクササイズ・ヨガポーズ例
*骨盤を前後動かす*

*骨盤回りの筋肉をほぐす*


立位のポーズが安定しない原因のひとつに、足幅(スタンス)が自分に合っていないことがあります。
足幅が狭すぎるとひざの関節に負担がかかりやすく、広すぎると土台が安定しづらくなります。まずは、今の自分の足幅が適切か確認してみましょう。
足を左右に開くポーズの場合(オープンヒップ)
戦士のポーズ2や三角のポーズなど、左右に足を開くポーズでは、足幅が広いとポーズが取りづらく、狭いと前足のひざがつま先より前に出やすくなります。
左右に開く足幅の目安
・骨盤幅の約3倍
・両手を左右広げたときの長さ
適切な足幅は、かかとの延長上にひざがあり、足も踏み込みやすいので、ポーズが安定します。
- 左右のどちらかの足を90度外側に向ける
- その足のひざを曲げる
- 曲げたひざがかかとの真上にあるかチェックする
- ひざがかかとより前にある
→ 足幅が狭い(後足、伸ばしている足を少し外側へずらし広げる) - つらい・キープができない
→ 足幅が広すぎる(後足を少し内側へ寄せて狭くする)
※確認するときは下腹部を軽く締めて、ひざに余計な負担をかけないように気をつけてください
両足を前後に開くポーズの場合(スクエアヒップ)
戦士のポーズ1やハイランジなど、両足を前後に開くポーズでは、前後の幅が長すぎると踏ん張れず不安定になり、短すぎるとひざの負担が増えます。
前後に開く足幅の目安
・オープンヒップのポーズの足幅より1、2歩狭い
(骨格や股関節の可動域によって、自分の最適な幅は変わります)
- 前足のひざを曲げるとき、つま先より前に出ている
→ 幅が狭い(後足を後ろへずらして広げる) - 後足のひざが伸びにくい
→ 幅が狭い - 両脚全体がガクガクしすぎ
→ 幅が広すぎる (後足を前に寄せて狭くする) - 足裏が踏ん張れない・安定しない
→ 幅が広すぎる
足幅が変わる(ポーズを深める上達のサイン)
ヨガを続けていると、体の可動域が広がり、適切な足幅だった長さが狭く感じることがあります。これは上達のサインです。次のような感覚があれば、足幅を少し広げて、ポーズを深めてみましょう。
- 前足のひざが、つま先より前に出やすくなった
- ポーズが楽にとれる
- 筋肉が強くなるところ、伸びるところが感じにくい
また、足幅を広げる判断の見極めが難しいときがあります。一度足幅を広くして、以下のことができているか確認してくださいね。
- ポーズをキープしているとき、自分の呼吸が上がっていないか
- 両足でしっかり踏み込んでいるか
- 上体を反らしても倒しても、土台が安定しているか
ただし、足幅が広くなる分上半身を支える負荷が増えます。多少の踏ん張りは筋肉強化に必要ですが、体幹が上半身を支えきれないと、太ももに負荷がかかり、痛めやすくなります。
足幅を変えるときは少しずつ広げていきましょう。
ポーズがしっかりとれていると、以下の感覚が得られます。自分の状態を冷静に確認してくださいね。
- 常に体が安定している
- 呼吸がしやすい
- ひざ・股関節に違和感がない
- 筋肉が伸びるところ、使っているところがわかる
※立位のポーズは、安定と力強さが感じられていれば、しっかりできている証拠です。
立位のポーズは、足裏・体幹・骨盤・足幅がそろうと安定してきますが、いくつか注意しておくと、より安全に、そして心地よく練習ができます。ここでは、立位のポーズをとるときに気をつけたいポイントをまとめました。

立位のポーズでは、ひざとつま先の向きがそろっていないと、ひざの関節に負担がかかりやすくなります。曲げているひざが内側にたおれていたり、つま先より前に出てしまう体勢は、ひざにストレスがかかります。これは前足だけでなく、後ろ足も同じです。
確認するポイント
・ひざの向き → つま先と同じ方向(目安は人差し指と同じ方向)
・ひざの位置 → かかとの真上(かかとの位置より内側、外側にずれないよう調節する)
少しのずれも積み重なると癖になりやすいため、足を開くときや足先の向きを変えるときに確認してみてください。ひざの位置を調整するときは太ももを使います。しづらいときは、体幹で上体を支えていない、足の開きすぎが考えられます。
立位のポーズも準備運動は欠かせません。体の強張りを少しでもほどいておくと、立位の安定感が変わり、ケガの防止にもつながります。
- アキレス腱を伸ばすストレッチ
- 太ももの前側・付け根を伸ばすストレッチ(片足のカエルのポーズ など)
- 太ももの後ろ側・お尻を伸ばすストレッチ(前屈のポーズ、ダウンドック など)
- 足首をまわす、足指を動かす(足指グーパーなど)
とくに、太ももの裏側やお尻をほぐしておくと、反り腰や猫背の修正がしやすくなります。
立位のポーズが不安定な原因は、筋力の弱さだけではなく、重心のズレも大きく関係します。重心は左右・前後に偏りすぎないよう気をつけながら、中心軸にくるように均等にかけましょう。
- 戦士のポーズ2
左右のどちらかに傾きやすい → 背中の中央から手を伸ばす意識で、左右均等に - 上体をたおすとき・上体をそらすとき
重心が上体の向きにぶれやすい → 下腹部を軽く締めて、おへそのあたりに重心がくるように意識する
重心が整うと、立位のポーズがぐっと安定しやすくなります。
立位のポーズは、筋力やバランスが必要になるため、無理をしすぎるとひざ・股関節・腰などに負担がかかります。
以下のような状態になったら、無理をしているサインかもしれません。
- ひざ・股関節に違和感がある、痛みがはしる
- 太ももに過度の緊張感がある(とくに、ももの内側)
- 呼吸が止まりやすい、乱れている
- 足がグラグラしすぎて、安定しづらい
無理をせず、ひざを軽くゆるめる、足幅を調整するなどして、負荷を減らしてください。
ひざや股関節に不安がある人は、無理をしない椅子をつかったヨガがおすすめです。椅子が上半身をさせる役目になり、下半身の負荷が軽減され、安定した状態でポーズがとれます。
- 戦士のポーズ1、2
- 体側を伸ばすポーズ
- ハイランジ
- 椅子のポーズ
- 三角のポーズ
- ねじった三角のポーズ
- 体側を強く伸ばすポーズ
なお、股関節症・ひざ関節症など、重度のひざ、股関節、腰に痛みの症状がある方、また、妊娠中や人工関節を装着している人は、必ず医療機関にご相談の上、ご判断ください。
立位のポーズには、筋力・安定性・柔軟性を高めるだけでなく、姿勢や体の使い方を整える効果があります。

立位のポーズをおこなうことで、太ももの筋肉(大腿四頭筋・ハムストリング・内転筋群)や、お尻の筋肉(大殿筋・中殿筋)が活性化され、土台となる下半身の安定性が高まります**。このとき、足裏で床を押す意識(グラウンディング) が重要です。
足裏(足底) → 足首 → ふくらはぎ → 太もも → 骨盤へとつながる “筋連鎖” が働きだすと、体が自然と支えられやすくなり、立つ力がより強くなります。
また、足を前後に開く立位ポーズは、加齢とともに弱りやすい太もも・お尻まわりを効果的に刺激し、ロコモ対策としても役立ちます**。
立位のポーズは、脚を外に開く(外転)、内に寄せる(内転)、太ももを回す(外旋・内旋)など、股関節が多方向に動きをします。それに伴い、骨盤の位置が動きやすくなります。
そのため、骨盤が傾きすぎない、ねじれすぎない、左右に偏りすぎないように保つために、股関節や骨盤まわりの筋肉でで、骨盤をコントロールする力が必要です。
デスクワークや片側重心の姿勢が続くと、股関節や骨盤を支える筋肉が弱まり、左右差も出やすくなります。立位のポーズは、太ももやお尻、下腹部の筋力の左右差を減らし、骨盤の調整を高める役目もあります。
立位ポーズの両足を前後・左右に開く動きや、上体をたおす・反らす動作が、股関節や太ももまわりの柔軟性を引き出しています。これは、長時間の座り姿勢や年齢とともに硬くなりやすい部分をほぐしていくのに最適です。
とくに、立ったままでおこなう足を開く動きは、股関節の開き具合を調整しやすく、安全に柔軟性を高める方法として、初心者にも向いています。
立位のポーズは足裏をしっかり使うため、自然と“地面に支えられる感覚”が育ちます。これは、ヨガで言う「グラウンディング(地に足がつく感覚)」のことです。このグランディングの感覚が得られると、
- 集中力が高まる
- 呼吸が深まりやすい
- 足裏の感覚がよくなり、安定する
といった、心理的なメリットがあらわれます。気持ちが落ち着きにくいときでも、足裏床を押しながら立つことで、気持ちが鎮まることがあるようです。
座り姿勢が中心になりがちな人は、立位のポーズは気分転換としても効果的です。

立位のポーズは、ヨガの基本でありながら、なぜ安定しないのだろう、どうして疲れてしまうのだろうと、感じることが少なくありません。
その理由は、目に見える形よりも、足裏の意識・体幹の安定・骨盤の向き・足幅といった“土台の使い方”に隠れていることがほとんどです。
ここでは、安定につながる4つのコツと、安心して続けるための注意点、そして立位ポーズがもたらす効果をまとめてご紹介しました。どれも今日からおうちで試せるものばかりです。
大切なのは、完璧な形を目指すことではなく、自分に合った幅・角度・力加減を見つけていくこと。その積み重ねが、しっかりした土台をつくり、呼吸の深さや集中のしやすさにつながります。
おうちでのヨガだからこそ、まわりを気にせず、じっくり体の変化を観察できます。きっと、これまで気づかなかった感覚があらわれてくるはずです。
参考文献
** 日本整形外科学会「足の構造とアーチ」
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/adult_period_flatfoot.html
** 日本整形外科学会 ロコモティブシンドローム公式サイト
https://locomo-joa.jp/
** 国立長寿医療研究センター
https://www.ncgg.go.jp/
**National Center for Biotechnology Information (NCBI) – “Physiology, Posture and Balance” (StatPearls) https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK541075/
(※姿勢保持やバランス制御の基礎的な生理学的仕組みに関する根拠として参照)


