
ヨガのバランスポーズですぐふらついて、ポーズが保てなくて苦手意識をもっている人へ。実は、ふらつきの原因は「筋力不足」だけではありません。
足裏の使い方や骨盤の向き、体幹の支え方、意識の向けかたなど、その人によって安定を妨げているポイントはさまざまです。ここでは、バランスポーズが安定しない6つのタイプを紹介します。
自分に当てはまるタイプを見つけて、改善のヒントとして役立ててくださいね。ちょっとした意識の変化で、「あれ? 立てた!」という瞬間が訪れるかもしれません。
- ポーズがふらつく6つタイプの原因
- 安定させるための改善のコツ
- バランスポーズの効果
- レッスンでよくするバランスポーズのポイント
Table of Contents 表示
- ポーズでふらつく6つのタイプと改善のコツ
- バランスポーズでよくある質問とヒント
- バランスポーズで得られる効果とメリット
- 体幹の強化と姿勢の改善
- レッスンでするおもなバランスポーズ
- ふらつかないポーズは意識と練習で叶う
バランスポーズが安定しない理由は、ひとつではありません。足元の使い方や骨盤の傾き、体幹の支え方、視線の置き方など、小さなクセの積み重ねが、ふらつきを生み出していることがあります。
ここでは、ふらつき方の特徴から6つのタイプに分けて、原因と改善のコツを図解で紹介します。イラストを見ながら、自分に近いタイプを探してみてくださいね。

このタイプの人は、足裏がうまく使えていないことが多く、体を支える土台が不安定になりやすい傾向があります。
足指が浮いていたり、足首が硬い、土踏まずがつぶれているとバランスが崩れやすくなります。
- 足裏3点(親指の付け根・小指の付け根・かかと)で床を押す
- 足指じゃんけんやタオルギャザーをして、足指を動かし、床を捉えやすくする
- 足首をまわして、足首の筋肉やふくらはぎ、すねの筋肉を動きやすくする
- ダウンドックやアキレス腱を伸ばして、ふくらはぎを活性化させる
- ふくらはぎや足首の筋力が弱いときは、筋トレのカーフレイズ、ヨガではヤシの木のポーズで鍛える
足裏で地面を押すと地面からの反力が働き(作用反作用の法則)、足元が安定します。これも軸を支える要素の一つです。

このタイプの人は、足裏は安定していても、脚全体の支えが弱い傾向があります。
足裏や足首がしっかりしていても、脚の筋力が弱いと姿勢を支えられません。とくに太ももの筋肉(大腿四頭筋やハムストリングス)、お尻の筋肉(殿筋群)そして、大腿筋膜張筋が使えていないと、ひざの関節や股関節が不安定になります。
- 椅子のポーズやランジ、立位のポーズで脚力を強化
- 立位のポーズを長めにキープし「支える筋肉」を鍛える
- 日常生活でも足をつかうようにする(歩く、階段を使うなど)
スクワットやカーフレイズなどの筋トレも効果的です。普段から歩いたり、階段を使ったりして、足腰をしっかり使いましょう。

このタイプの人は、骨盤まわりが安定せず、上体がグラつきやすい傾向があります。腹横筋などのインナーマッスルやお尻・太ももの内側の筋肉が働いていないと、骨盤の位置がズレやすく、姿勢が不安定になります。
- お尻と下腹部に軽く力を入れて、骨盤の前後を安定させる
- 太ももの内側(内転筋)とお尻の外側(中殿筋)で骨盤の左右バランスを保つ
- おなか、お尻、太ももを鍛えるポーズを練習する
(体幹はプランクポーズ、下腹部と太ももは椅子のポーズ、お尻と太ももは女神のポーズなど)
骨盤の向きはポーズによっても変わります。以下のポイントを意識してみましょう。
- 直立型(木のポーズなど):
お尻の外側の筋肉、中殿筋を使って、股関節が外側に突き出さないようにする - 側面型(半月のポーズ):
骨盤が後ろに倒れやすいので、上の足はお尻より後ろへ出さないようにする - 水平型(戦士のポーズⅢ):
骨盤が外に開きやすいので、上の足先とひざを下に向ける(床と並行に)
半月のポーズや戦士のポーズⅢのように、軸足と骨盤の位置が違うとき、骨盤が傾きやすく不安定になりがちです。
軸足を固定したまま骨盤をたおすには、お尻や太ももの柔軟性も重要です。
骨盤を支える筋肉を意識して使うと、上体のブレが減り、軸が安定してきます。日常でも、立つときに下腹部を軽く引き入れるよう意識してみてくださいね。

このタイプの人は、下腹部の力が抜けやすく、上体の安定を保ちにくい傾向があります。下腹部に力を入れて、体幹と背面の筋肉で上体のバランスを保ちましょう。
- 下腹部は軽く締めて、腹横筋などを活性化させる
- 体幹を強化する
(プランクポーズ→チャトランガダンダアーサナ の反復練習など)
木のポーズで両手を上げたときにふらつく人は、ろっ骨を前に突き出すクセがあるかもしれません。反り腰傾向がある人は、みぞおちを軽く引き込む意識をもつと安定しやすくなります。

アームバランス(カラスのポーズなど)では、腕や肩の力が弱いと体を支えきれません。また、肩まわりの筋肉が使えていないと、肩関節も安定せずポーズが不安定です。
- プランクとチャトランガの反復練習で上腕と肩を強化(体が床につかないように注意する)
- 脇を締めて、ひじが外に開かないように注意する
- アッパードックやダウンドックで肩関節を安定させる感覚をつかむ
肩を固定する筋肉が働くと体を支えやすくなります。プールヴォッターナーサナ(東を強くするポーズ)、や板のポーズ(プランクポーズ)を長くキープするのも効果的です。

このタイプの人は、視線があちこちに動いてしまい、集中が途切れやすい傾向があります。周囲の音や気配に意識が向きやすいので、ポーズをしているときは目線を定めて、集中しましょう。
- アシュタンガヨガの手法、ドリシュティで目線を定める
(凝視するのではなく目線はおくだけ。意識は自分の内側へ向ける) - 顔を正面に向ける
(戦士のポーズ・カラスのポーズは下に、蛍のポーズは正面もしくは斜め下) - 自分の呼吸に意識を向けて外部からの刺激を受け流す
視線が安定すると心も落ち着きます。ヨガでは「目線が定まる=心が定まる」と言われています。呼吸も止めずにし続けてくださいね。心の揺れを静めていきましょう。
バランスポーズでふらつく原因は、以下のポイントに気をつけましょう。どこか一つを意識するのではなく、全体を意識してポーズをとると安定感が生まれます。
- 片足立ち:足元・脚力・骨盤の向き・体幹・目線
- アームバランス:腕力・体幹・目線

バランスポーズを練習しているときに感じる疑問や練習のヒントをQ&A形式でまとめました。ぜひ参考にしてくださいね。
ポーズの正しい位置を感覚で覚えるために、壁や椅子、ブロックは積極的に使いましょう。転倒防止の目的で使われることが多いのですが、段階的に練習することでポーズの上達が見込めます。
<壁(椅子)を使った練習の段階とポイント>
- 片手のひらでしっかり壁に手をつく → ポーズのとりかたや微調整のしかたを覚える
- 指先または指1本を壁につく → ポーズが安定する感覚をつかむ
- 壁から手を離して練習する
また、アームバランスのバカーサナを練習するときは、ヨガブロックやペットボトルなどを使うとポーズが安定しやすいです。
<ヨガブロックの使いかた>
- 両足でブロックを挟むとバランスがとりやすくなる
- 額の位置にブロックをおいて頭を支える
アームバランスの練習は片足立ちより転倒しやすいため、周りに障害物がないことを確認し、ブランケットやクッションを敷いて安全を確保してから練習してください。
このような練習方法で、苦手なバランスポーズを克服していきましょう。
バランスポーズに限らず、苦手な側だけを練習していると筋力や柔軟性のバランスが偏ってしまいます。左右差を感じたら、弱い側から始めて、時間をかけて丁寧に練習しましょう。
ポーズをとりながら、自分の弱い部分や強化したいところを観察します。そして、得意なほうよりも1~2回多く練習しましょう。
また、左右差の原因はふだんの体の使いかたの偏りや、筋力や柔軟性の差によることが多いです。右肩にカバンをかけたら、左肩もカバンをかけるなど、左右均等に身体を使うようにしてくださいね。
バランスポーズでは、呼吸を止めるくせが出やすくなります。呼吸を止めると心も体も緊張し、動きが固くなってしまいます。
練習中は呼吸を止めないように心がけてください。また、息を吐くときに力が抜けバランスを崩しやすいので、胸を左右に広げる胸式呼吸ですると、ポーズが安定しやすくなります。
ポーズをしているときに、足首、ひざ、股関節に痛みが走った場合はすぐに中断してください。痛みが続くときは医療機関に相談しましょう。
また、木のポーズで上げた足をひざの位置につけると、無意識で軸足のひざを押し、関節に余計な負担をかけます。上げた足はふくらはぎか太ももにつけるようにしましょう。
アームバランスを練習するときは、手首の柔軟性や腕力、体幹の強さが必要です。アッパードックで太ももやひざをつけずキープできる、チャトランガダンダアーサナで床につけずに長く保てるなど、自分の筋力を冷静に判断してから挑戦してください。
バランスポーズを続けていると、ポーズの安定だけでなく、心身のバランスも整える効果やメリットもあります。

バランスポーズは少しでも気が散れるとバランスが崩れてしまいます。あえてこの不安定な状況を作り、脳と体に以下のことを訓練させることで、集中力と注意力を高めています。
- 意識を今の自分へ強制的に戻す:
今、この瞬間の体の状態を認識し、ポーズを維持するために体のあらゆるところを微調整することに注力させる - 思考から感覚への切り替え:
体勢維持のため、脳が思考優位から体の感覚を優先させる。この切り替えで、外部からの刺激を遮断し集中力が増す
これを繰り返して練習することで、脳がこの集中方法を記憶し、日常生活でも応用できるようになると言われています。
また、ポーズを長くキープすることで不安やストレスから一時的に距離をとることができます。これにより思考がクリアになり、体の安定が心の安定につながると言われているところです。

例えば、片足立ちのポーズは足の筋肉を全体的に使います。足裏や前面の筋肉に力が入り、背面の筋肉も引き伸ばされながら体を支えている状態です。
また、ポーズ中、足裏でしっかり床を押すことで、地面からの反力(作用反作用の力)が体に伝わり、重心が整っていきます。このとき、太もも(大腿四頭筋、ハムストリングス)、すね(腓腹筋群)やお尻(中殿筋や小殿筋)などの筋肉が、骨格の支えとして働き、脚全体のバランスを取っています。
これらの筋肉を鍛えるため、関節まわりの安定性が高まり、ケガをしにくい体へと変わっていきます。
さらに、バランスを取る過程で「どこに重心があるか」「どの筋肉が働いているか」といった繊細な感覚も磨かれます。この感覚は、「神経筋協応能」と呼ばれ、脳が筋肉を効率よく連動させて動かす能力です。
この能力はケガの防止にとても役立ちます。ちょっとした段差やつまずきへの反応が速くなり、転倒予防に効果的です。バランスポーズの練習は、見た目以上に「体を守る力」も育てます。

バランスポーズは、体をまっすぐに保つ力を鍛えるトレーニングです。片足立ちの場合、重心の位置がずれると姿勢が崩れます。そのため、体の中心(軸)を保とうとする意識が強くなり、骨盤や背骨を正しい位置に戻すために、腹横筋のインナーマッスルや脊柱を支える脊柱起立筋群が働きます。
これらの筋肉が姿勢を安定させ、骨盤の傾きを調整しやすくします。そして、胸を開いた姿勢を保つ助けにもなります。
また、ハンドスタンド(逆立ち)のポーズは、体幹を強くして脚を持ち上げます。これには腹筋群の強さが必要です。上体を持ち上げる段階は腹横筋などのインナーマッスルを使い、ある程度足が上がったら腹直筋など体幹の筋肉を使って姿勢を維持します。
このように、バランスポーズは体幹強化、筋力バランスを整えます。正しい位置で姿勢をキープする土台を作り、無意識のうちに体の軸を調整する能力が向上し、姿勢が改善すると言われています。
レッスンでもよく登場するバランスポーズを、レベル別にポイントを解説します。それぞれのポーズには安定させるコツと意識のポイントを解説しました。自分の体の状態に合わせて無理なく練習してみてくださいね。

- 木のポーズ(ヴリクシャーサナ)
はじめに習うバランスポーズの基本です。上げた足の裏と軸足の内ももを押し合うと軸が安定します。上の足は太ももかふくらはぎにつけましょう。視線(ドリシュティ)を一点に定めると安定しやすくなります。両手の位置は3つのパターンがあります。(胸の前で合掌、上に伸ばし広げる、上に伸ばして合掌) - ワシのポーズ(ガルーダーサナ)
足や手のむくみ、肩こりを軽減するポーズです。両手両足を絡めて片足で立ちます。体側を強くして、軸足を踏みこみ、両足で押し合うとポーズが安定します。両手両足を交差させるときは、足と手は違う方向でしましょう。
・右ひざを上にして足を絡ませるときは、右ひじを下にして両手を交差し絡ませる
・左ひざを上にして足を絡ませるときは、左ひじを下にして両手を交差し絡ませる - ダウンドック(アド ムカ シュヴァーナーサナ)
頭を下にして両腕両足で体を支えるポーズです。片足を上げて肩や腕の使いかたを体に覚えさせましょう。ダウンドックの詳しい解説はこちらを参考にしてください。

- 半月のポーズ(アルダ・チャンドラーサナ)
三角のポーズから発展するバランスポーズです。手をつく位置は少しずつ移動させてから上体をたおします。手は軸足から少し外側、40~50cm離れた位置につきます。床に手をつく位置にブロックをおいてすると、上体の傾斜がゆるくなりバランスが取りやすくなります。 - 両足をそろえたヴァシシュタのポーズ(サイドプランク、ヴァシシュタ アーサナ)
片手片足で体を支えるポーズです。肩の真下に手をおき、体幹と太ももで上体を引き上げます。もう片方の手を上に伸ばし、胸を開いて背中を長く保ちましょう。足裏の一部しか床につきませんが、足裏の3点でしっかり押します。はじめて挑戦するときは、ひじをついて低い位置から練習をしましょう。 - 片足上げのポーズ(ウッティタ・ハスタ・パーダングシュタアーサナ)
木のポーズで軸がしっかりしたら挑戦できるポーズです。軸足と反対側の足を前に出して、その足を手でつかむポーズです。無理に足を伸ばさずに、膝を軽く曲げたポーズから始めましょう。手で足先をつかむのが難しいときは、ヨガベルトを輪っかにして、それを足先に引っかけて足を伸ばします。このポーズが安定してきたら、足を横にひろげてY字バランスへ発展させます。

- 戦士のポーズⅢ(T字バランス、ヴィラバドラーサナⅢ)
軸足・上げた足・両手の3方向の張力でバランスを保ちます。軸足の足はしっかり踏み込み、上の足はかかとを強く押します。両手の前に出して体側をしっかり伸ばしましょう。腹筋で上体を安定させます。骨盤が開かないように、上げた足のひざとつま先を下に向けます。骨盤を安定させるには、両足の内ももを引き寄せるように強くします。バランスが難しいときはヨガブロックを使いましょう。ブロックを軸足の側の肩の下におき、その上に手をおいて、片手片足から練習します。 - カラスのポーズ(バカ―サナ)
腕や肩を強化するポーズです。両手は肩幅に開き指は広げて床につきます。両腕と両ひざで押し合うと上腕が安定します。足を持ち上げるときは、腹筋で上体を持ち上げ、太ももを挟み込むようにキュッと締めます。手のひらや指の腹で床を押しながら上体を傾けましょう。頭を下にすると怖いときは、額の位置にヨガブロックをおいて練習します。 - 蛍のポーズ(ティッティバ―サナ)
太ももを腕にのせて支えるアームバランスです。足幅は肩がちょうど入る程度に開きます。両手はひざの内側から入れて、かかとの後ろに手をつきます。ひざはわきの近くにおきましょう。足が滑りやすいときは、内ももを締める力で足の位置と腕を固定します。腹筋や体幹を強くして体を支えます。まずはひざを曲げた状態から練習します。
(ふくらはぎやハムストリングスの柔軟性が必要なポーズのため、前屈のポーズができるようになってから足を前にだす練習しましょう)
バランスポーズが安定しないとき、原因は1つだけではありません。足元の使い方、骨盤や体幹の安定、そして集中力など、いろいろな体と心の要素が関係しています。
今回紹介した原因を一つずつ見直し改善することで、誰でもポーズが安定してきます。焦らず、毎回の練習を「体を観察する時間」として続けてみてください。
ポーズが安定してくると、姿勢も整い、呼吸が深まり、気持ちまで落ち着いていきます。ヨガのバランスポーズは身体だ身でなく「自分の軸を感じる練習」でもあります。


