
シヴァナンダヨガのレッスンで必ずする太陽礼拝。他のクラスに参加したときや選んだ動画によって動き方が違うと感じたことはありませんか?「これで合っているのかな」と違和感を覚える人もいると思います。
シヴァナンダヨガの太陽礼拝は、ハタヨガの太陽礼拝と少し異なる動きをします。また、呼吸と動作を合わせ、流れるように動くのが特徴です。慣れていないと周りの人と動きが違っていたり、もたついて焦ってしまうことがあるかもしれません。
ここでは、シヴァナンダヨガの太陽礼拝をイラストとともに解説し、初心者でも安心して取り組めるポイントをまとめました。
取り組みやすいシヴァナンダヨガの太陽礼拝は、日頃の練習に取り入れることで、背中や股関節の柔軟性が高まり、心肺機能の向上にもつながります。
- シヴァナンダヨガの太陽礼拝の特徴
- 呼吸と体の動かしかたのポイント
- ハタヨガの太陽礼拝との違いに戸惑わずに楽しむコツ
シヴァナンダヨガの太陽礼拝は、その後でするメインのアーサナ(ポーズ)の準備運動としておこなわれます。体を温めて関節をほぐし、また、呼吸をしやすくするために「1呼吸、1動作」が積極的に取り入れられています。そして、左右均等にすることも特徴的です。
- 心肺機能の向上
- 背骨の柔軟性と弾力性の向上
- 集中力アップ
- 心身のリラックス
- 股関節の可動域の向上
- 血行の促進
- 山のポーズは合掌をする
- 呼吸をしやすくするために、体を反らして両手を上に伸ばすポーズをする
- ランジのポーズが含まれる (半分の前屈はしない)
- 四肢で支える杖のポーズの代わりに、8点のポーズをする
- 1回の練習で3~6セット、多くて12セットする
そして、太陽礼拝の最後にシャヴァアーサナ(お休みのポーズ)をおこない、深くリラックスします。
覚えやすいシークエンスですが、体を整える準備運動としては効果的な動きです。毎日の練習に取り入れることで、心身ともに軽やかさを感じられるでしょう。

シヴァナンダヨガの太陽礼拝は、7つのポーズを組み合わせ、12のステップで構成されています。「5回の吸息、1回の息止め、6回の呼息」を続けながら、呼吸に合わせて体を動かせましょう。途中の板のポーズで一度呼吸を止め、山のポーズで呼吸を整えます。
慣れないうちは2〜3呼吸のペースで、ゆっくり動いても大丈夫。まずは、流れを覚えていきましょう。途中で呼吸との連動が乱れても気にせず続けてください。
また、踏み出す足(軸足)が周回ごとに変わります。1回目は右足から、2回目は左足からと、足を交互に使います。
また、自分の斜め上に太陽があることをイメージしながらおこなうので、斜め上を見上げることが多くなります。
ここからは、各ステップをイラストに沿って、呼吸のタイミングやポーズのポイントを解説します。できないときの工夫も紹介しているので、参考にしてくださいね。
合掌のポーズ(プラナマーサナ)

ポーズのとりかた
マットの端に両足をそろえて立つ
かかととつま先を合わせ、両足均等に重心を乗せる
おなかとお尻を軽く締める
顔・目線は正面に向ける
姿勢が整ったら、両手を胸の前で合わせて合掌する
2〜3呼吸してから、次のポーズに移る
ポイント解説
おなかとお尻を軽く締めると姿勢が安定します。両足に体重を均等に乗せて、重心を体の中央にくるよう調節しましょう。あごを軽く引いて、肩の力を抜いてください。足を開けてするときは、足の人差し指を正面に、両かかとは指2本分くらいあけます。
両手を上に伸ばすポーズ(ウールドヴァ ハスターサナ)

ポーズのとりかた
合掌のポーズから、両手ほどき前に出す
息を吸いながら、両手を前から大きく半円を描くように持ち上げる
股間節を前に押し、胸を開く
背中を反らせながら、目線は天を仰ぐように上、または斜め上にする
ポイント解説
伸びをするように腕を伸ばし、胸をひろげます。体の前側を伸ばしながら反りましょう。腰に負担を感じるときは、体の反りが浅くてもかまいません。腰の反りすぎに注意しましょう。
両手をあげるときの手の方向は、手のひらを内側、もしくは、前に向けるようにしてください。
強い前屈のポーズ(ウッターナーサナ)

ポーズのとりかた
息を吐きながら、両手は大きな半円を描くように前から下ろす
同時に、股関節から上体を前にたおす(骨盤もたおす)
手が床につかないときは、ひざを曲げておこなう
両手は両足の横、もしくは、足首、すねにおく
ポイント解説
背中を丸めずに股関節から折りたたむように上体をたおします。ひざは軽く曲げてしてもかまいません。ひざを曲げずにおこなうときは、ひざの伸ばしすぎに注意します。吐く息で首や肩に余分な力を抜いて、背中を伸ばします。頭の重みを床に預けるように前屈をしましょう。
ローランジ(アシュワ サンチャラナーサナ)

ポーズのとりかた
息を吸いながら、右足を大きく後ろに引く
左ひざは曲げて、かかとの一直線上にひざがくるようにする
右ひざは床につき、つま先立ちにする
上体を持ち上げ、胸は正面、顔を少し上げて目線を斜め上に向ける
ポイント解説
後ろ足の太ももの付け根を伸ばすポーズです。歩幅を大きくとると伸びやすくなります。腰が反りすぎないように、おなかを軽く締めます。手が床につかない場合は、指先だけ床につけるか、カップハンズにしてもかまいません。手が床につけるときは、指を開いてつきましょう。
※2回目は後ろ足が左足、前足が右足になります。周回するときは、踏み出す足を交互に変えます。
板のポーズ(ファラカアーサナ・プランクポーズ)

ポーズのとりかた
両手は肩の真下におき、指を開く
息を止めながら、左足を後ろに引いてつま先を立てる
両足をそろえる
おなかを軽く締め、お尻を引き込む
頭からかかとまで一直線になるようにする
ポイント解説
頭から足まで一直線になるように、体幹で支えます。腰が落ちたり反ったりしないように注意し、お尻は突き出さずに尾骨を足と同じ方向にしましょう。首の後ろを長く保ち、目線はやや前方(50cm先)に向けます。きつい場合は、ひざを床に下ろしておこないましょう。
8点のポーズ(アシュタンガ ダンダーサナ)

ポーズのとりかた
息を吐きながら、両ひざを床につける
両手は胸の位置におく
わきを締めて、ひじを後ろに引く
胸とあごを床につき、お尻は高く持ち上げる
ポイント解説
このポーズは、両手・両ひざ・胸・あご・両足先の8か所を床について体を支えます。腰を下ろしすぎないように、腹筋を使って胸やあごを床に近づけましょう。お尻は突き出したままの状態です。
首がつらいときは、あごの代わりにおでこを床につけましょう。きついときは、チャイルドポーズでおやすみします。
コプラのポーズ(ブジャンガーサナ)

ポーズのとりかた
息を吸いながら、上体を前に滑らせる
両足を伸ばし、両足をそろえる
腰を下げて、胸を床から持ち上げる
両手の位置は変えず、ひじを曲げたまま体を支える
肩は耳から遠ざけ、胸を前に広げる
足の甲と下腹部は床を押す
目線は斜め上か正面に向ける
ポイント解説
腰だけでなく、背中全体を使って上体を持ち上げましょう。首の後ろを詰めないように、あごを軽く引き、肩の力を抜きます。わきは締めたままおこないましょう。腰に負担を感じる場合は、上体を起こす位置を少し低くしてポーズをとります。
下向きの犬のポーズ(アド ムカ シュヴァーナーサナ・ダウンドック)

ポーズのとりかた
息を吐きながら、つま先を立てて、お尻を持ち上げる
両手の位置は変えずに、両足は床についてかかとを押す
わきを開き、胸を引き上げる
背中をまっすぐにして、逆V字型にする
肩、首の力を抜き、頭の重みで背中を伸ばす
ポイント解説
シヴァナンダヨガのダウンドックは、逆V字の型でポーズをとります。かかとを押して足の裏側を、頭の重みで背中を伸ばしましょう。両足はそろえたままで実践します。
このポーズを長くキープして休息することもあります。そのときは、呼吸を整えながらリラックスしましょう。
ローランジ(アシュワ サンチャラナーサナ) ※2回目

ポーズのとりかた
息を吸いながら、右足を両手の間に踏み出す
右ひざを曲げ、かかとの真上にひざがくるようにする
左足のひざは床について、つま先を立てる
上体を起こし、胸を正面に向け、目線は斜め上にする
ポイント解説
再度ローランジをします。2回目は1回目と逆の足を前にしておこないます。腰を反りすぎないように気をつけましょう。
手が床につかない場合は、指先を立てるか、カップハンズにします。
※2回目は、左足を両手の間に踏み出し、右足のひざを床についておこないます。
強い前屈のポーズ(ウッターナーサナ) ※2回目

ポーズのとりかた
息を吐きながら、左足を前に踏み出して両足をそろえる
お尻を上に持ち上げて、前屈する
両手は両足の横、足首、またはふくらはぎに置く
首の力を抜き、頭の重みで背中を伸ばす
ポイント解説
背中を丸めず、股関節から折りたたむように前屈します。
手が床につかないときは、ひざを軽く曲げましょう。腰や太ももの裏が心地よく伸びる位置でおこないましょう。
両手を上に伸ばすポーズ(ウールドヴァ ハスターサナ) ※2回目

ポーズのとりかた
息を吸いながら、大きな円を描くように、両手と上体を同時に持ち上げる
腕を耳の横に伸ばし、股関節を前に出す
目線は斜め上か、天井を見上げる
ポイント解説
腰だけで体を反らさないようにしましょう。胸を開いて股関節を前に出し、体の前面を伸ばしながら反らします。肩は脱力して、首を長く保ちます。腰に負担を感じる場合は、反りを浅くしてもかまいません。
合掌のポーズ(プラナマーサナ)
ポーズのとりかた
息を吐きながら、上体をまっすぐに戻す
両手を前から下ろし、胸の前で合掌
1,2呼吸キープして呼吸を整える
※詳しい解説はSTEP1を確認してください。
息を吸いながら、両手を持ち上げて、STEP2の両手を上に伸ばすポーズに入ります。
2回目(偶数回)では、足を出す順序が以下のように変わります。
- 1回目のランジ:左足が後ろ、右足が前でポーズをとる
- 板のポーズ:右足を後ろに引く
- 2回目のランジ:左足を手と手の間におき、右ひざを床についてポーズをとる

シヴァナンダヨガの太陽礼拝は、呼吸と動作を連動させて数回続けておこなうため、動く瞑想と言われています。準備運動として体を温めるだけでなく、胸を開いて呼吸を深め、心拍機能の向上、心身をリフレッシュする効果もあります。
改めてポイントを整理すると、以下のとおりです。
- 1呼吸1動作でおこなう
- 両足をそろえてポーズをとる
- シークエンスにローランジが含まれている
- 板のポーズで一度息を止める
- ダウンドッグは逆V字型
ポーズを極めるハタヨガと違い、シヴァナンダヨガは、流れにのって体を動かすことを重視しています。ハタヨガをメインに練習している人には馴染まないことがあるかもしれません。
違いにこだわるよりも、それぞれの良さを楽しむ気持ちで望んでください。ヨガの新たな世界観を知ることもできます。
ぜひイラストを参考にしながら、自分のペースでシヴァナンダヨガの太陽礼拝を練習してくださいね。


